特別支援教育の知識を活かした子育ての経験を通して、 みんながHAPPYになれる社会作りを目指す特別支援教育士まこママ先生です♪
目次
はじめに
「読書の秋」が近づいてきて思うこと
暑い日が続きますが、もう9月だったんですね。秋が近づいていると信じたい…
秋といえば、「読書の秋」
本屋には、「読書の秋」を謳ったコーナーが並び、読書好きの人にはたまりませんよね。
が、私は仕事柄、「本が嫌い」という子どもに出会うことが多いです。
「どうして?」と尋ねると、
- 本を読むのがめんどくさい
- 漫画や動画、ゲームの方が楽しい
- 好きな本がない
など、色々です。
読書習慣がないことを憂いている調査結果もあります。
ただ、私が気になるのは
「読みたくても読めない子」の存在です。
いわゆる学習障害の中でも「読字障害」の特性がある人たちも含まれると思います。
読字障害の研究は進んでいますが、その中で「読み」に困難さがある人達のために、近年
UDフォント
が開発されました。
今回は「UDフォントとは何?」から生活にどう活かすかを考えます。
- UDフォントを知らない
- UDフォントをどう使えばいいかわからない人
- UDフォントの使用に抵抗がある人
に役立つ記事になればと思います。どうぞお付き合いください。
UDフォントとは?
UDフォントとは
UD Font (Universal Design Font : ユニバーサルデザインフォント ) 少し前から注目をされている「ユニバーサルデザイン」のコンセプトに基づいたフォント
一般の人はもちろん、お年寄りや障害者の方、外国人の方など皆が「便利だな、使いやすいな」と思えるデザインです。※UD(ユニバーサルデザイン)とは、”できるだけ多くの人が利用可能であるようなデザイン”を基本コンセプトとしたデザインの事で、人が生活する上で「使いやすさ、見やすさ」といった細かい部分にも配慮・工夫をしたデザインをさします。
つまり、UDフォントは正式な名前ではなく、
多くの人が読みやすいと感じるフォントの総称
という理解ができます。
ちなみに株式会社モリサワが開発した「UDデジタル教科書体」はwindows10で標準搭載となり、学校現場を始め、看板等でもよく見かけるようになりました。

UDデジタル教科書体、開発の経緯と有用性については、開発した(株)モリサワが大変分かりやすい動画を出しているので、ご覧ください。
読書でも活かせるUDフォント
読みたいのに、読めない人たち
これまでは、本を読もうとすれば、印刷された書籍を読むしかありませんでした。
それはつまり、
【明朝体やゴシック体は読むのが難しいが、他の読みやすい書体の文章なら読める】
という人は、本を読むことができないということでした。
「本を読みなさい!」そう言われても、読みにくい文字を読もうと努力しているうちは、
本の内容など入ってきません。
小さいときにそんな想いをした子が、成長するにつれて
「文字は読めないけど、読書が好きになる」
なんてことはあり得ないことです。
本当は読みたくて、読みたくて、仕方なかったかもしれないのに…
もしかしたら、救世主?の電子書籍
そんな「読みたくても読めない人」の救世主となるかもしれないのが電子書籍です。
私は元々本は嫌いではないのですが、子育てが始まってから
- 本屋に行けるタイミングがなくなったこと
- ネットで注文すると読みたい!と思った瞬間に手元に届かないこと
がネックになり、本を読む機会が激減しました。
でも、育休が続く中で、読書もしなければ、自己研鑽の機会はない!そう思って、
電子書籍を読むようになりました。
そこで見つけてしまったんです。
フォントを変更する機能!
私は楽天koboで電子書籍を購入し、ipadか電子書籍リーダーで読んでいます。
書体変更の手順は以下の通りです。
J・K・ローリング 「ハリーポッターと賢者の石」より




こうやって比較すると、違うのが分かりますよね?
文字の大きさを変えるとこんな感じ。

他にも、読字に難しさがある人の中には文字と紙の色のコントラストが原因となる人もいます。
(感覚過敏と呼ばれることもありますが、私的には繊細な変化に気付ける人だと思います。)
そんな方は、このコントラストも選択できます。




写真だと微妙なニュアンスが伝わらないかなぁ。
ちなみに、これらはipadを使用した際の画像です。
スマホのアプリや電子書籍リーダーだと、選択肢はもう少し狭まります。
このような形で、
それぞれの視えの状態にカスタマイズできるということですね。
電子書籍はダメ?
一方で、読書好きだったり、本の制作の努力を知っている人にとっては、電子書籍というのは邪道だと思うかもしれません。
あるドキュメンタリーで、出版会社の編集者の方を追っていたものがありました。
その中で、編集者の方は
・作者のニュアンスが一番伝わる書体はどれか?
・印刷紙の選択はどれがいいか?
・帯と書籍のバランスは?
そんな購入者がそこまで気にかけないことでも、作品の良さを届けるために、何回も校正を続けていました。
電子書籍はそんな努力を一瞬にして吹き飛ばしてしまっているのでは?
そう思う人がいてもおかしくありません。
読者にしても、
読み込んで角がボロボロになった書籍には愛着も湧きますし、
その本を手にした感触がその時読んだ内容や湧き上がった感情を呼び起こす大切な手がかりにもなり得ます。
電子書籍はあまり勧めない!そんな人の気持ちも分かります。
UDフォントが苦手な人もいる
加えて、こんな声もあります。
私UDフォント苦手かもしれない。明朝体やゴシック体が苦手な人がいるように。UDフォントのあの、インクが滲んだような、毛糸で文字を書いたような強調感。学校に溢れていて息苦しい。(Twitterより)
私自身は、UDデジタル教科書体が読みやすいのです。しかし、こう思ってしまう気持ちも分かります。
UD(ユニバーサルデザイン)が苦手というのを公言すると、配慮が必要な人たちを蔑ろにしているのでは?という評価を受けるかもしれない…
でも、苦手なものはやっぱり苦手。UDだからと言って、絶対みんなが心地よいものとは限らない。
忘れてはいけない視点だと思います。
本当の平等とは何か?
ただ、UDフォントが苦手、導入に抵抗があると言って、相手に努力を求めてしまう…
という人には、まず下の図をお伝えしたいです。

私は、このイラストの考えがものすごく妥当だなと考えています。
本当の平等とは、
「みんなが同じこと」ではなく、
「みんなが自分に合うものを選べること」だと思うのです。
印刷された書籍と電子書籍どちらがいいのか?
フォントはUDデジタル教科書体と明朝体とゴシック体のうちどれがいいのか?
これに明確な答えはないと思います。
だってそれぞれ抱えている事情が違うんだもの。
もし、書体の変化によって本を読みやすくなるなら、電子書籍はその人にとって、有効になるでしょう。
逆に、書体の変化が本の読みやすさに大きな影響を及ぼさないなら、印刷された書籍はその人にとって有効になるでしょう。
選べるようになった選択肢を大切に
自分にとっての「最良」とは?
テクノロジーの進歩で、
「選べなかったことが選べるようになっている」
ということが往々にしてあります。
「そんなの邪道だよ」「〇〇の力が育たなくなる!」
とすぐに決めつけず、有効性を検討することが必要です。
更に、日本においては【同調圧力】という言葉が世間に溢れるように、
みんなと合わせることを優先し、自分にとっての最良を選ぶ力が育ちにくかった文化的背景があります。
これからを生きる私たちは、この力を伸ばしていくことが大切かなぁと思っています。
また、みんなで学んで、自分にとっての最良を見つけていきましょう♪
ではあしたもみんなでHAPPY✨
叱咤激励いただけたら嬉しいです。
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